トレックの新型マドンのプロトタイプは、2022年のクリテリウムデュドーフィネでテストされていました。その後もテストを重ねフラッグシップエアロロードバイクであるMadoneSLRの最新バージョンの発表に至ります。
MadoneSLRは、前作でも非常に評価は高くエアロロードを牽引していました。前作同様のサイドプロファイルを保持しているにもかかわらず「これまでで最軽量かつ最速のMadoneDisc」とトレックは謳っています。
2021年も早いものでもう10月も半ばとなりました。今年も残す所あと2ヶ月。今年も様々なロードバイクが登場し、当サイトでもご紹介してまいりました。記事を書いている私自身がかなりのエアロ好きなことからどうしても新型エアロは気になる存在[…]
IsoFlow
トレックが「IsoFlow」と呼んでいるシートチューブの凧形の穴は、IsoSpeedの「デカップラー」システムに取って代わりました。
IsoFlowにより得られたものはフレーム空力性能を「約3ワット」向上、さらには前作に対しての軽量化です。
IsoFlowはライディング時にこの穴を通る空気の流れが加速することでフレームの空力性能を向上させます。
これは、ライダーの後ろにある空力の低圧ゾーンの影響を減らすことにつながり、全体的な空気抵抗の低減に効果を発揮します。
IsoFlowにはIsoSpeedシステムの調整機能がありません。
しかしほとんどのライダーはIsoSpeedを常日頃から調整することはなく、手に入れた時とその後数週間のみいじるくらいのものです。
プロサイクリストはこのようなIsoSpeedの複雑な調整機構に疑問を呈し、トレックの開発陣と本気でやりとりを行った結果IsoSpeedとの別れが決定しました。しかしながら快適性が大きく損なわれたのかというとそんなことはなく、IsoFlowはIsoSpeedよりも軽量で空力的ではあるが快適性は維持され、空力に重きをおいた程度と考えてもよさそうです。
19Wの削減 300gの軽量化
「新しいMadone SLRは、ライダーを含めて1時間あたり約60秒速く走ることができる」とトレックの空気力学者であるジョンデイビスは言います。これは約19Wの削減※45km/h走行時に値します。
では45km/hで走らなければメリットや性能を感じることができないのか?
そんなことはありません。
ジョンデイビスによると「35kphで59秒、25kphでは58秒早く走れる」と話しています。
これはプロサイクリストのような人間離れしたスピードを出すことができない私たちのような一般サイクリストにとっても最大限に近い恩恵を受けることができるということになります。
大体のモデルはプロ目線で速く走ってなんぼで考えられますのでこれは私たち一般サイクリストにとっても非常に嬉しいことではないでしょうか。
これほどまでに空力に特化がされたマドンはなんと今回の新型で約300gもの軽量化も果たしているといいます。
同社のEmonda SLRは依然としてトレックで最軽量のロードバイクですが、軽さを若干犠牲にすることができればMadoneはほとんどの場合、地形に関係なく、あらゆるタイプのレース状況で最速のバイクと考えることができるでしょう。
空力特性が優秀であることは重量差埋めることに十分なファクターになり得るということです。
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新型ハンドルバー
150gと9.3wの削減は新型フレームとIsoFlowによって達成され、残りは新型コックピットの軽量化と新型ハンドルバーがもたらすジオメトリーの影響による「ライダーポジショニング」の改善が影響しています。
フルインテグレートされチューブプロファイルを全体的にスリム化、ブレーキフードを3cm程狭くすることでMadone SLRは軽量化とジオメトリ改善による空力性能を獲得しました。
仮に42cmのハンドルバーならブレーキフードの位置で中心から中心までで39cmの、ドロップ部分の中心から中心までで42cmになります。
フレアバーと言われるドロップでの手の位置が広く、ブレーキフードでの位置が狭いハンドルバーは、平坦のクルージングには空力性能を発揮し、スプリントなどではドロップ部でコントロールを向上させることができます。
ジオメトリ
2021年のエモンダから始まったH1.5ジオメトリを採用、MadoneSLRのフィッティングシステムを簡素化しました。
H1.5は「以前のH1とH2のフィットの中間」に位置し、本質的にアグレッシブで長くて低い「プロ」のH1フィットと、よりリラックスしたH2フィットの間の妥協点と言えます。
Madone SLRは、47〜62cmの8つのサイズを展開、新型ハンドルバーはステム長さが80〜120mm、ハンドル幅が38cm〜44cmの11サイズ用意されています。
※全てを選択できるわけではなくサイズごとの制限があります。
新しいハンドルバーのブレーキフードの位置を狭くすることに加えて、前作のハンドルバーと比較してリーチを20mm(80mmに)減らしました。
これにより、通常60〜80mmのリーチを提供する他のブランドのロードハンドルバーとの整合性が高まり、尚且つハンドルバーを標準の1-1 / 8インチのステムに交換すれば市販される他メーカーのステムとハンドルバーのほぼすべての組み合わせをチョイスできる様になります。
フレームサイズ | 47cm | 50cm | 52cm | 54cm | 56cm | 58cm | 60cm | 62cm |
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Seat tube (cm) | 42.4 | 45.3 | 48.3 | 49.6 | 52.5 | 55.3 | 57.3 | 59.3 |
Seat tube angle (degrees) | 74.6 | 74.6 | 74.2 | 73.7 | 73.3 | 73 | 72.8 | 72.5 |
Head tube (cm) | 10 | 11.1 | 12.1 | 13.1 | 15.1 | 17.1 | 19.1 | 21.1 |
Head tube angle (degrees) | 72.1 | 72.1 | 72.8 | 73 | 73.5 | 73.8 | 73.9 | 73.9 |
Effective top tube (cm) | 51.2 | 52.1 | 53.4 | 54.3 | 55.9 | 57.4 | 58.6 | 59.8 |
Bottom bracket drop (cm) | 7.2 | 7.2 | 7.2 | 7 | 7 | 6.8 | 6.8 | 6.8 |
Chainstay length (cm) | 41 | 41 | 41 | 41 | 41 | 41.1 | 41.1 | 41.2 |
Fork offset (cm) | 4.5 | 4.5 | 4.5 | 4.5 | 4 | 4 | 4 | 4 |
Trail (cm) | 6.8 | 6.2 | 5.8 | 5.6 | 5.8 | 5.7 | 5.6 | 5.6 |
Wheelbase (cm) | 97.2 | 97.4 | 97.7 | 98.1 | 98.3 | 99.2 | 100.1 | 101 |
Standover height (cm) | 69.2 | 71.1 | 73.2 | 74.4 | 76.8 | 79.3 | 81.1 | 82.9 |
Reach (cm) | 37.3 | 37.8 | 38.3 | 38.6 | 39.1 | 39.6 | 39.9 | 40.3 |
Stack (cm) | 50.7 | 52.1 | 53.3 | 54.1 | 56.3 | 58.1 | 60.1 | 62 |
Stem length (mm) | 80 | 90 | 90 | 90 | 100 | 100 | 110 | 110 |
Saddle rail height minimum (w/short mast, cm) | 55 | 58 | 61 | 63.5 | 66.5 | 68.5 | 70.5 | 73 |
Saddle rail height maximum (w/short mast, cm) | 62 | 65 | 68 | 70.5 | 73 | 75.5 | 77.5 | 80.5 |
Saddle rail height minimum (w/tall mast, cm) | 58.5 | 61.5 | 64.5 | 67 | 70 | 72 | 74 | 76.5 |
Saddle rail height maximum (w/tall mast, cm) | 65.5 | 68.5 | 71.5 | 74 | 76.5 | 79 | 81 | 84 |
仕様 価格
2023 Trek Madone SLRは、ShimanoまたはSRAMで構成された6つの仕様から選択できます。
完成車価格は、最もリーズナブルなMadoneSLR6が¥1,155,000円、最高峰のコンポーネントを搭載するMadone SLR9eTapは1,756,700円となっています。
現在フレームセットに関しての情報はまだ価格含め発表されていません。
メカニカルグループセットとの互換性がなくなり、Tネジ付きT47ボトムブラケットの使用を継続しています。
すべてのパッケージに、BontragerAeolusホイールとBontragerクリンチャータイヤが付属され、タイヤサイズは700x25cで出荷されます。
公式に700x 28cまでのタイヤのクリアランスがあるとされていますが、実際はさらに余裕を持っているそうです。
Madone SLR 9 eTap
- フレームセット: Trek Madone SLR、800シリーズOCLVカーボン
- ドライブトレイン: SRAM Red eTap AXS
- ホイールセット: BontragerAeolus RSL 51
- タイヤ:ボントレガーR3ハードケースライト、700 x 25c
- シートポスト: Madoneエアロカーボン
- ハンドルバー: Madone統合ハンドルバー、OCLVカーボン
- サドル: Bontrager Aeolus RSL
- 重量: 7.36kg
Madone SLR9
- フレームセット: Trek Madone SLR、800シリーズOCLVカーボン
- ドライブトレイン: Shimano Dura-Ace Di2 R9270
- ホイールセット: Bontrager Aeolus RSL 51
- タイヤ: Bontrager R4 320、700 x 25c
- シートポスト: Madoneエアロカーボン
- ハンドルバー: Madone統合ハンドルバー、OCLVカーボン
- サドル: Bontrager Aeolus RSL
- 重量: 7.21kg
Madone SLR 7 eTap
- フレームセット: Trek Madone SLR、800シリーズOCLVカーボン
- ドライブトレイン: SRAM Force eTap AXS
- ホイールセット: Bontrager Aeolus Pro 51
- タイヤ:ボントレガーR3ハードケースライト、700 x 25c
- シートポスト: Madoneエアロカーボン
- ハンドルバー: Madone統合ハンドルバー、OCLVカーボン
- サドル: Bontrager Aeolus Elite
- 重量: 7.76kg
Madone SLR7
- フレームセット: Trek Madone SLR、800シリーズOCLVカーボン
- ドライブトレイン: Shimano Ultegra Di2 R8170
- ホイールセット: Bontrager Aeolus Pro 51
- タイヤ:ボントレガーR3ハードケースライト、700 x 25c
- シートポスト: Madoneエアロカーボン
- ハンドルバー: Madone統合ハンドルバー、OCLVカーボン
- サドル: Bontrager Aeolus Elite
- 重量: 7.48kg
Madone SLR6eTap
- フレームセット: Trek Madone SLR、800シリーズOCLVカーボン
- ドライブトレイン: SRAM Rival eTap AXS
- ホイールセット: BontragerAeolus Pro 51
- タイヤ:ボントレガーR3ハードケースライト、700 x 25c
- シートポスト: Madoneエアロカーボン
- ハンドルバー: Madone統合ハンドルバー、OCLVカーボン
- サドル: Bontrager Aeolus Elite
- 重量: 8.03kg
Madone SLR6
- フレームセット: Trek Madone SLR、800シリーズOCLVカーボン
- ドライブトレイン: Shimano 105 Di2 R7170
- ホイールセット: Bontrager Aeolus Pro 51
- タイヤ:ボントレガーR3ハードケースライト、700 x 25c
- シートポスト: Madoneエアロカーボン
- ハンドルバー: Madone統合ハンドルバー、OCLVカーボン
- サドル: Bontrager Aeolus Elite
- 重量: 7.75kg
allphoto:TREK
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