超軽量シートポスト
エアロ化、ディスクブレーキ化、タイヤの幅広化、それに伴うワイドホイール化によりロードバイクの性能は飛躍的に向上しましたがこれまで重視されてきた軽量性が犠牲になっています。
この重量増の問題を少しでも緩和するべく着目されているのが超軽量シートポスト。
UAEチームエミレーツ、イスラエル・プレミアテック、ウノエックス・プロサイクリングはすでにカスタムパーツブランドの超軽量軽量シートポストを採用しレースに参加しています。
DARIMO(ダリモ)
UAEはエースのタデイ・ポガチャル(スロベニア)をはじめ、アダム・イェーツ(イギリス)とラファウ・マイカ(ポーランド)など、クライマー勢のコルナゴV4Rsにダリモのシートポストを採用、重量をUCI規程の6.8kgを達成しているそうです。
イスラエルもファクターOSTRO VAMにダリモ製シートポストを採用している実績があります。
軽量パーツブランドはダリモだけというわけではなく、AX lightnessも徐々に採用実績が上がっています。
ただ、シートポストの形状はエアロ化によって単純な筒形形状とは限らずダリモによるカスタマイズが行われている可能性が大きいです。
よって非常に高価である場合も…軽さ=値段。この構図は依然として変わりません。
Vision Team SL ハンドルバー(未発表)
バーレーン・ヴィクトリアスのミケル・ランダ(スペイン)が乗るメリダには未発表の新型パーツが搭載されています。こちらも軽量化を狙ったパーツのようでハンドルとステムが一体となったハンドルセットアップ。注目のパーツブランドは
WISION(ヴィジョン)
ヴィジョンにはMETRONと言われるエアロ一体型ハンドルがラインナップされ広く知られていますが、今回のハンドルセットは見たことのない形状。
名前も「TEAM SL」と軽量モデルであることが伺えます。
このハンドルセットアップは何も軽量性だけではありません、注目すべきはそのポジション。
ステム角度を大きく取って下に向けられ、エアロポジションとなる前傾姿勢が際立ちます。このおかげかランダはプロトンの中でもぶっちぎりの低いポジションを可能にしています。
巨大チェーンリング
53/39チェーンリングが”漢”と言われる時代はとうの昔。今や山岳コースにおいてもアウター54Tがノーマル、中には55T、56T、58Tを採用する選手も出てきています。
プロトン内の最もポピュラーとなるデフォルトギアリングは54/40T。これはシマノR9200系DURA-ACEラインナップ中の最大歯数となります。
ツールの選手間では私たちがサイクリングで慣れ親しんでいるミッドコンパクト(52/36)やコンパクトギア(50/34)は一切見受けられません。
トタルエネルジーは昨今の供給問題により部品の入手がうまくいかず、ピーター・サガン(スロバキア)含む全選手が以前のモデルである11速のR9100シリーズのデュラエースを使用しています。
サガンはしっかりとトレンドを押さえており、平坦ステージで56/44Tのビッグチェーンリングを採用。
気になるツールのプロトンで最大歯数のチェーンリングを使っているのは元アワーレコードホルダーのヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)で、ローター製の58/44T。
市販品にはラインナップされていないのかパワーメーターと干渉する部分がメカニックによって手作業で加工されているところもポイント。
それでは速度の落ちる山岳ステージではどのようなギアリングを採用しているのでしょうか。
山岳ステージではアウターはそのまま大径ギアを使用、インナーは可能な限り小径ギアを採用する場合が多いようです。
例えばシマノコンポーネントを使用しているチームであれば、54/40Tのインナーギアを36Tに変更、リアスプロケットは11-30T、11-34Tの2種類を使い分けています。
SRAM新型ブラケット/レバー
今大会見事マイヨジョーヌを守り切ったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)の駆るサーヴェロ S5は現行Redよりも明らかにコンパクトなブラケットを採用しています。
この形状は今年3月に発表されたセカンドグレードのForceに非常に酷似しており、今後発表されるSRAM最高峰シリーズのREDのモデルチェンジである可能性が高く、モデルチェンジの時期とも合致しています。
TT用タイヤ
ヴィットリアを採用するチームのほとんどが新型CORSA PROを使用しますが、今大会ではTT用のCORSA SPEEDを使用する選手が目立ちました。
中でもヨナス・ヴィンゲゴー、サイモン・イェーツは山岳ステージで採用し、ディラン・フルーネウェーヘンは平坦ステージの最終スプリントに合わせて採用するなどTTだけにとどまらない性能を発揮。
さらにこの中にはまだ未発表であるCORSA SPEED 28cの存在も確認されており、世界中で市販化が期待されそうです。
BMC REDBULL プロトタイプ TTバイク
AG2RシトロエンはBMCのプロトタイプTTバイクを使用しました。ロードバイクモデルと同じくレッドブル・アドバンスドテクノロジーズと共同開発を行っている話題のモデル。
昨年アイアンマン世界選手権前に発表、今年のツール・ド・ロマンディでチューダーの選手が先立ってテストしました。
従来モデルのTM01との比較では、さらにエッジの効いたデザインや、大きく取られたタイヤクリアランスなど最新のトレンドも取り入れつつBMCらしさも際立たせる進化となっています。
さらにロードモデルの専用ボトルデザインのようにTTバイクでも専用ボトルをフレームのエアロデザインに取り入れています。
リドレー プロトタイプ TT バイク
ロット・ディステニーのバイクであるリドレーはクリテリウム・デュ・ドーフィネより新型のTTバイクを使用しています。プロトタイプモデルということもあり塗装すらされていない状態。
見るからにTTバイク然としてはいるもののしっかりとリドレーらしさを感じ取れるデザインが踏襲。同社のエアロロードモデル Noah Fastからのフィードバックも多いのではないでしょうか。
空気抵抗の渦を細かく分解してくれる「F-Surface Plus」も採用。
興味深いことに選手ごとにセットアップが大きく変わっていること。
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)は完全なTT仕様のセットアップであることに対し、パスカル・エインコールン(オランダ)はホイールを標準モデルにするなど登坂よりのセッティングになっています。
おそらくはギアセッティングも選手ごとに細かくセッティングが変更されていることでしょう。
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