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2023年ミラノサンレモ。世代を超えた歴史的な勝利を収めたマチュー・ファンデルプール!

ロードレースにはクラシックと呼ばれる長い自転車の歴史と伝統と格式を有する特別なレースがあります。

ミラノ~サンレモが初めて開催されたのは1907年、なんと今年で114回大会にあたります。
特別なクラシックに挙げられるレースの一つで今大会のコースは全長294kmとなっています。
伝統のレース ミラノ~サンレモは、「ラ・プリマヴェーラ」との愛称を持つほどこれからはじまるロードレースシーズンの開幕の合図となっていることでも有名です。
コース自体は平坦基調ではあるもののしっかりとしたアタック区間も用意されており、この中で特に終盤の2カ所はゴールライン前約27km地点の「チプレッサ」、さらに残り9kmから立ちはだかる「ポッジオ」、これらのポイントはポジション争いが激化しレース模様を混沌とさせることは必須。
特にポッジオでのアタックは逃げとスプリントの駆け引きが楽しめる本コースの一番の見どころとなることでしょう。
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photo:©️ LaPresse
参加選手総勢175人、出場チームは25チームにも及んだ今大会。
リアルスタートが切られた後、束の間の平穏が過ぎると勢いよく逃げが形成、総勢9人の先頭集団が形成されレースは運びますがこれを野放しにはしないメイン集団。
ユンボ・ヴィスマやトレック・セガフレードが主となったメイン集団は最大3分程度の余裕に留めレースをコントロールしていきます。
穏やかに見えた集団でしたがトゥルキーノ峠に差し掛かるとクラッシュが発生。
このクラッシュの中にはジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ、フランス)やヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)らが含まれていましたが速度が比較的遅かったことで大事には至らずレース復帰を果たします。
photo:©️ LaPresse

その後大きな変化を生まないままレースは進行、残り55kmを切った頃からポジション争いが生まれ始めレースが混沌とした頃にまたも落車が頻発。残り46km地点でアレクサンデル・アランブル(モビスター チーム、スペイン)、残り35km地点でサム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ、アイルランド)を含む選手が落車し中にはリタイアする選手の姿も…。

250kmもの長い距離を逃げてきた逃げグループも残り27km地点の「チプレッサ」でメイン集団に回収されてしまいます。チプレッサを超えてもレースの流れを変えるアタックは生まれず70人ほどのメイン集団はポジション争いが予想される「ポッジオ」を目指します。

photo:©️ LaPresse

ゴールラインまで残り9km地点に立ちはだかる今大会注目のアタックポイント「ポッジオ」でまず主導権を握ったのは、全大会優勝者マテイ・モホリッチ(スロベニア バーレーン・ヴィクトリアス)、多くのアシストを一気に投入し集団を引き延ばします。

バーレーンコントロールのままレースは展開するかと思いきやティム・ウェレンス(UAEチームエミレーツ、ベルギー)がタデイ・ポガチャル(スロベニア)を先頭へ誘導、すかさずチェックに入るマチュー・ファンデルプール(アルペシン オランダ)、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)、これに呼応するようにモホリッチ、ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)、ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)も続々とポジションを上げ追走。

先頭集団の動きを鋭く観察していたマッテオ・トレンティン(UAEチームエミレーツ、イタリア)がここにきてスピードを落とし中切れ誘発、この動きにより先頭を追うにはきつい展開となりました。

photo: Tim De Waele-Getty Images

「ポッジオ」頂上まであと1.1kmのところでついにポガチャルがアタック!ポガチャルの鋭いアタックに反応したのは先頭集団の中でもガンナ、マチュー、ワウトの3人。モホリッチ、ピーダスンらはちぎられてしまいます。

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残り5.5km「ポッジオ」頂上付近で今大会の決定打となるマチューのアタックが炸裂!この凄まじいアタックには誰も反応できずライバルたちに差をつけたのちダウンヒルへ突入、ダウンヒルではワウトが猛追するも縮めるどころかその差は開く一方の展開になりました。

photo:©️ LaPresse

ダウンヒルが終わり平坦区間に入るとタイム差は6秒、残り1kmを切る頃には追走メンバーが互いを牽制し始めマチューに一気に光明が差し始めます。

今大会のフィナーレであるローマ通りに差し掛かる頃には決定的な差が生まれ、勝利を確信したマチューはジャージのファスナーを閉め沿道のファンに最高のファンサービスを贈りつつも自らのミラノ~サンレモ初優勝を祝いつつフィニッシュしました。

photo:©️ LaPresse

今年はシクロクロス世界選手権でもタイトルを獲得しているマチュー、ミラノ~サンレモでの初優勝は62年前の1961年に祖父のレイモン・プリドールも達成しており、世代を超える偉業となりました。もちろん今後のターゲットは北のクラシックをはじめ、パリ~ルーベの優勝も視野に入れていることでしょう。

今年もマチューの活躍を期待せずにはいられません!

photo:©️ LaPresse

優勝 マチュー・ファンデルプール コメント

photo:©️ LaPresse

歴史的にも珍しい世代を超える勝利を掴んだマチューは

「チプレッサでは追い風を確認、チームメートにはポッジオで仕掛けることを伝えたよ。クインテン・ヘルマンスとセーアン・クラーウアナスンが助けてくれたおかげでポジショニングは完璧だったと思う。その後のポッジオではもう少し早めにアタックする予定だったけど、思っていた以上にタイム差がついたのでダウンヒルは安全に行くことを選んだんだ。これまでに3回出場したミラノ~サンレモではなかなか攻めの走りができなかったけど今回はできたと思う。祖父の大会制覇から62年経った今、自分自身も勝てたことを誇りに思うし、本当にうれしいよ。」

と語っています。

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