数年前まで脚質という言葉が流行っていたのがロードバイクなどの自転車の世界。
しかしここ最近は脚質という概念が1人の男によって完全に破壊されました。
ワウト・ファンアールト
- 本名:ワウト・ファンアールト(Wout van Aert)
- 年齢:27歳(1994/9/15)
- 国籍:ベルギー
- 身長:190cm
- 体重:78kg
- 所属チーム:ユンボ・ビスマ
- カテゴリー:シクロクロス ロードレース
- 脚質:オールラウンダー(新種)
今年のツールドフランスでの戦績だけを見ても、第2ステージでマイヨ・ジョーヌを獲得、第4ステージで力強い独走優勝、第6ステージまで個人総合首位の証であるマイヨ・ジョーヌを守り抜き、第8ステージでは登坂後のスプリント勝負を制して2勝目、第9ステージを終えた7月10日時点でもスプリントポイント総合首位を示すマイヨ・ヴェールを保持、そしてなんと言っても第11ステージの山岳地帯で前回大会優勝者プロトン屈指のクライマー タディ・ポガチャルを引きちぎるという偉業を達成。彼はサイクリスト界随一の多才なライダーであり、稀代のオールラウンダーと言えるのかもしれません。
今回は全世界が注目する彼のプロフィールをご紹介していきます。
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伝説のサイクリストと同郷
ファンアールトは1994年にベルギー へーレンタルスで生まれました。この土地へーレンタルスからは世界5大クラシックレース全制覇、世界選手権2冠、ツール・ド・フランスポイント賞を誇るベルギーの伝説のサイクリスト、リック・ファン・ローイを輩出した街でもあります。
サイクリストの血筋
オランダに住む父方の従兄弟ヨス・ファンアールトは1988年から1994年にかけてプロサイクリストとして活躍し、ツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアの出場経験も有しています。ヨスはワウトほどの成功を収めることはできませんでしたが、2人の交流を深くヨスは現在も可能な限りワウトのレースに顔を出しています。
ロード転向以前はシクロクロスを席巻
ワウトは、ロードバイクライダーに転向するはるか以前からシクロクロスで戦っていました。ベルギー国内はもちろん、世界にもその名を轟かせる選手です。2016シーズンからベルギーシクロクロス選手権5連覇を達成すると、2016年から2018年にかけてUCIシクロクロス世界選手権3連覇も達成し、現在もベルギーシクロクロス選手権のタイトルを保持しています。
シクロクロスは一回のレースで数えきれないほどアタックを繰り返すインターバルレース。彼の強さはここが原点となっています。
心理学者のサポートを得て成長
ワウトといえば必ず上がってくるもう1人のサイクリストの名前があります。そうです。マチュー・ファンデルプールです。2人は共にライバルとしてエリートレベルへ駆け上がってきたライダーですが、ファンデルプールがワウトを上回るケースが多かったのも事実。
このような状況において更なる飛躍を目指すワウトはメンタルコーチのルディ・ヘイレンにサポートを求めました。ヘイレンとの関係について、ワウトは「彼は状況を好転させる助けになってくれた」と語るほどの支えとなっています。
その言葉通りにワウトはヘイレンと組んでから数カ月で初の国内タイトルを勝ち取ると、続いてワールドタイトルも手に入れる快挙を達成しました。
これだけの才能を持ちつつもやはりメンタルの及ぼす影響は大きいのですね。
稀代のオールラウンダー
ワウトは優れたシクロクロスライダーですが、ロードレースへの適応能力はこれをはるかに超えています。時にワウトはプロサイクリストの中でも屈指のタイムトライアリスト、時にゴール目前ではその爆発力はピュアスプリンターに匹敵するほどの破壊力を発揮します。
これだけではなく彼はクラシックツアーも得意としており、ミラノ〜サンレモ、アムステルゴールドレース、そしてゲント〜ウェヴェルヘムで勝利、更にさらにワウトはクライマーとしての資質も備えており、ツール・ド・フランス2021では超級山岳ステージの麓近くでチームリーダーの登坂をサポートする役割を担い、そればかりかツール・ド・フランス2021の難関山岳ステージ、モン・ヴァントゥの頂上手前11kmからアタックを仕掛けて単独優勝もかっさらう快挙を成し遂げています。
解説陣言葉を失うほどのマルチな活躍、というよりはもう完全なる一騎当千、無双状態と言えるのでは無いでしょうか。
大怪我から復活
強烈な成績を数多く残しているワウトですが、ツール・ド・フランス2019 第10ステージで最上位若手ライダーとしてマイヨ・ブランを着用、個人タイムトライアルに臨んだのですが大怪我を負う落車を経験。
この壮絶なクラッシュから数カ月後に行われたインタビューで、ワウトは外科医が腱の裂傷を見落とした結果、キャリアが危ぶまれる大怪我に悪化してしまったことを明らかにしました。そこからがワウトらしいというかなんというか、医師たちの予想とは裏腹に超回復を行い、何事もなかったかのようにシクロクロスレースへ早々に復帰、いち早く結果を出しています。
ワウト・ファンアールトの主な戦績
2016年
バロワーズ・ベルギー・ツアー 区間優勝(プロローグ)
スハール・セルス 優勝
2017年
ロンド・ファン・リンブルフ 優勝
Bruges Cycling Classic 優勝
グランプリ・ピノ・チェラミ 優勝
2018年
ストラーデ・ビアンケ 3位
ツアー・オブ・デンマーク 総合優勝(第2ステージ優勝)
ヨーロッパ選手権 3位(ロードレース)
2019年
ストラーデ・ビアンケ 3位
E3ビンクバンク・クラシック 2位
クリテリウム・デュ・ドフィネ ポイント賞、区間2勝(第4ステージ・個人タイムトライアル、第5ステージ)
ベルギー選手権 個人タイムトライアル 優勝
ツール・ド・フランス ステージ優勝 (第10ステージ)
2020年
ストラーデ・ビアンケ 優勝
ミラノ〜サンレモ 優勝
クリテリウム・デュ・ドフィネ ポイント賞、区間優勝(第1ステージ)
ベルギー選手権 個人タイムトライアル 優勝
ツール・ド・フランス 区間優勝 (第5ステージ、第7ステージ)
2021年
ティレーノ〜アドリアティコ ポイント賞(第1ステージ、第7ステージ・個人タイムトライアル優勝)
ヘント〜ウェヴェルヘム 優勝
アムステルゴールドレース 優勝
ベルギー選手権 個人ロードレース 優勝
ツール・ド・フランス 区間優勝 (第11ステージ、第20ステージ・個人タイムトライアル、第21ステージ)
東京オリンピック 個人ロードレース 銀メダル
ツアー・オブ・ブリテン 総合優勝(第1、4、6、8ステージ優勝)
2022年
オムロープ・ヘット・ニウスブラット 優勝
パリ〜ニース ポイント賞(第4ステージ・個人タイムトライアル優勝)
E3サクソバンク・クラシック 優勝
クリテリウム・デュ・ドフィネ ポイント賞(第1、5ステージ優勝)
ツール・ド・フランス ポイント賞(第4、8ステージ、第20ステージ・個人タイムトライアル優勝)、 総合敢闘賞
シクロクロス
2011-2012年
スーパープレスティージュ ジュニア 総合2位
シクロクロス・ラダーフォールド 優勝
2012-2013年
スーパープレスティージュ U23 総合優勝
シクロクロス・ゾンホーフェン 優勝
シクロクロス・ガーフェレ 優勝
スーパープレスティージュ・ギーテン 優勝
Bポスト・バンク・トロフェー U23 総合8位
スライティングスプライス・オーストマレ 優勝
2013-2014年
Bポスト・バンク・トロフェー U23 総合優勝
グランプリ・ファン・ハッセルト 優勝
グランプリ・ローモア 優勝
アーゼンクロス 優勝
グランプリ・スヴェン・ネイス 優勝
クラワテンクロス 優勝
ナショナル・シクロクロス・オテゲム 優勝
UCIシクロクロスワールドカップ U23 総合2位
シクロクロス・ナミュール 優勝
グランプリ・ノメ 優勝
スーパープレスティージュ U23 総合2位
シクロクロス・ガーフェレ 優勝
フラムス・アードベイエンクロス 優勝
ノールドゼークロス 優勝
2014-2015年
Bポスト・バンク・トロフェー U23 総合優勝
シクロクロス・コッペンベルグ 優勝
ボレッケスクロス 優勝
グランプリ・ローモア 優勝
アーゼンクロス 優勝
グランプリ・スヴェン・ネイス 優勝
ジルフェルメールクロス 優勝
ファースライス・シクロクロス・ブレーデネ 優勝
キャスティールクロス 優勝
フロートプライス・スタッド・エークロ 優勝
マルール・クレイクロス 優勝
スライティングスプライス・オーストマレ 優勝
UCIシクロクロスワールドカップ U23
ドゥイネンクロス・コクサイデ 優勝
シクロクロス・ナミュール 優勝
スーパープレスティージュ U23
スーパープレスティージュ・ギーテン 優勝
シクロクロス・ゾンホーフェン 優勝
シクロクロス・ガーフェレ 優勝
グランプリ・デ・ラ・リージョン・ワロンヌ 優勝
2015-2016年
UCIシクロクロス世界選手権大会 優勝
ベルギー選手権 シクロクロス 優勝
UCIシクロクロスワールドカップ 総合優勝
クロスベガス 優勝
スーパープレスティージュ 総合優勝
スーパープレスティージュ・ギーテン 優勝
シクロクロス・ゾンホーフェン 優勝
シクロクロス・ガーフェレ 優勝
グランプリ・デ・ラ・リージョン・ワロンヌ 優勝
Bポスト・バンク・トロフェー 総合優勝
GP・マリオ・デ・クレルク 優勝
シクロクロス・コッペンベルグ 優勝
ボレケスクロス 優勝
グランプリ・ローモア 優勝
シュヘルデクロス・アントウェルペン 優勝
グランプリ・スヴェン・ネイス 優勝
スーダル・GP・ネールペルト 優勝
ステンバーグクロス 優勝
ポルダースクロス 優勝
ジルフェルメールクロス 優勝
フロートプライス・スタッド・エークロ 優勝
2016-2017年
UCIシクロクロス世界選手権大会 優勝
ベルギー選手権 シクロクロス 優勝
UCIシクロクロスワールドカップ 総合優勝
クロスベガス 優勝
ジングル・クロス 優勝
グランプリ・エリック・デ・フラーミンク 優勝
メモリアル・ロマーノ・スコッティ 優勝
DVV・トロフェー 総合優勝
GP・マリオ・デ・クレルク 優勝
シクロクロス・コッペンベルグ 優勝
グランプリ・ローモア 優勝
アーゼンクロス 優勝
スーパープレスティージュ 総合2位
グランプリ・デ・ラ・リージョン・ワロンヌ 優勝
ブリコ・クロス 総合優勝
ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン 優勝
シルヴェスタークロス 優勝
トレックCXCカップ2 優勝
ケルミスクロス 優勝
ニールス・アルベルト・CX 優勝
スライティングスプライス・オーストマレ 優勝
2017-2018年
UCIシクロクロス世界選手権大会 優勝
ベルギー選手権 シクロクロス 優勝
UCIシクロクロスワールドカップ 総合2位
ポルダークロス・ツェーフェン 優勝
シクロクロス・ナミュール 優勝
スーパープレスティージュ 総合2位
シクロクロス・ブーム 優勝
シクロクロス・ガーフェレ 優勝
DVV・トロフェー 総合3位
ブリコ・クロス
シクロクロス・ガーフェレ 優勝
ヴァースライズ・シクロクロス 優勝
ケルミスクロス 優勝
ワースランドクロス 優勝
ビンゴール・シクロクロス 優勝
2018-2019年
UCIシクロクロスワールドカップ 総合2位
シクロクロス・ポンシャトー 優勝
ブリコ・クロス
ブレーデネクロス 優勝
シクロクロス・ラ・メジエール 優勝
ケルミスクロス 優勝
2019-2020年
DVV・トロフェー
クラヴァーテンクロス 優勝
2020-2021年
ベルギー選手権 シクロクロス 優勝
UCIシクロクロスワールドカップ 総合優勝
シクロクロス・デンデルモンデ 優勝
フラムス・ドラウヴンフェルドリット・オーフェルアイゼ 優勝
X²O・バットカームルス・トロフェー
シクロクロス・ヘーレンタルス 優勝
ジルフェルメールクロス 優勝
2021-2022年
ベルギー選手権 シクロクロス 優勝
UCIシクロクロスワールドカップ
ヴァル・ディ・ソーレ 優勝
デンデルモンデ 優勝
スーパープレスティージュ
ボーム 優勝
グランプリ・エリック・デ・フラーミンク 優勝
X²O・バットカームルス・トロフェー
アーゼンクロス 優勝
グランプリ・スヴェン・ネイス 優勝
シクロクロス・ヘーレンタルス 優勝
エティアスクロス
グランプリ・ローモア 優勝
新たな家族と共に更なる伝説が生まれそうです!
これからのワウトからは目が離せません!
photo:instagram
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