ドイツのミュンヘンで開催されたIAAモビリティショーでこれまでに見たことのないデザインの自転車が展示されました。
約一年前UCIのロードバイクフレームに関するルールが変更されるとの噂が流れます。この変更はフレームの厚みに関連し、これによってロードバイクメーカーのフレーム設計に幅が広がり、これまでよりもさらに刺激的なデザインのフレームが誕生するのではないかと期待されました。
SIMPLONはいち早くこの規制に対応する新設計のロードバイクを開発、一つの”形”を完成させます。
それが今回ご紹介する
PRIDEⅡ
であり、メーカーの発表によると
世界最速のロードバイク
と謳われています。
コンセプトは世界最速
設計コンセプトは単純明快。世界で最も早く走ることのできるロードバイクを開発すること。
SIMPLONのコンセプトに賛同し提携を行なったのが風洞実験などのエアロダイナミクスのプロ集団SWISS SIDE。
SWISS SIDEはSIMPLONにフレームの開発におけるCFD解析を支援しました。これにより従来型であるPRIDE1とは似て非なるバイクPRIDEⅡが誕生しました。
同じ名前のロードバイクであることすら疑ってしまうほどの進化を遂げています。
外観
どう見てもエアロといった外観はサーヴェロS5やSWORKS VENGEに通づるものがあります。
角ばったデザインは攻撃的な印象を強く与え、世界最速というコンセプトに対し納得させられるような威圧感さえ感じてしまいます。
斜め後ろから見ることでよりこのバイクのフレームが角ばっていることに気づきます。フロントフォークはTTバイクからインスピレーションを受けているような幅の広さが特徴です。
ハンドル周り
サーヴェロS5のハンドルまわりに似ている形状、空気の流れを極限までスムーズにしています。
完璧なケーブルの内装化により最小限の前面投影面積を達成、ステムキャップやボルト類の露出も最小限におさえています。注目はハンドル中央に見えるボタンのようなもの。
まだ発表されていないバイクですのであくまで推測の域を出ませんが、このボタンらしきものは電動シフトのスイッチの役割を担うのではないかと思われます。ありそうでなかったコンポーネントとの融合も匂わせておりメーカーの本気度が伺えます。
ヘッド部の膨らみはおそらく剛性の高いベアリングを格納するのみのスペースではないでしょうか。僅かにシェイプされた形状は色気を感じます。
前面からの見た目とは打って変わり側面は極太の一言。ここまで必要なのかと思うほど存在感。
ハンドルに組み合わされるステムは最大で50mmの調整幅があるそうです。
足回り
完全にブレーキキャリパーを覆い尽くすデザインのフロントフォーク。こちらはTTバイクと言われても頷いてしまいます。
空力を考慮し必要なクリアを設けたタイヤスペース。今後タイヤ幅のトレンドが変わったとしても十分に対応が可能でしょう。
大きく段差のついたリアバックは形状も翼の形をしており確実にエアロ効果を発揮します。
シートチューブから伸びた三角形のフレームはフレームの剛性に寄与しているに違いありません。
BB周り
ボックス型にでっかいBBが多い中、独特のえぐりを設けたBB周りです。前面投影面積を減らし、尚且つ形状による剛性アップを図っています。バイクの加速力を大きく左右するBB周りに剛性のとエアロの両立を狙っていることがわかります。
比較
SIMPLON PRIDE | SIMPLON PRIDEⅡ |
PRIDE photo:https://www.simplon.com/ |
同じ名前を持つ同社のPRIDEと比較してみました。
PRIDEはメーカー曰くエアロを追求したデザインでTTやトライアスロンにも適していると謳っています。
このようなエアロ効果を追求したモデルに対し新型のPRIDEⅡは、なんと時速45 km走行時30wものパワー削減が可能だというのだから驚きです。
時速45 kmで走行しているとき概ね300w前後のパワーを必要としますが、この時約1割も削減してくれるバイクなのです。
すごいのはこれだけではありません。
横風状態において「セール効果」または「負の抗力」を発生させることが可能で、横風時他のいかなるバイクよりも効果的に前進させると言います。そしてこの効果については時速45 km未満で走行する場合にも大きな効果があり全ての人が恩恵を受けることができるのだそう…。
いやいやまさかまさか、いいことばかり書きすぎじゃない?と思われる方も多いでしょう。私もその1人です。
しかし、この効果についてドイツのロードバイク専門誌レンラッドが検証を行い裏付けを取ったという情報を公開しています。
残る不安はただ2つ!
ここまですごい情報を見てしまうと世界最速というのも現実味を帯びるどころか消費者としての人柱になる覚悟さえ湧いてきます。
しかし!不安は残っているのです。
加速性能
最近のエアロロードは以前のモデルに比べて随分と横剛性に関しても進化しました。しかし極端なエアロロードほど横剛性が犠牲になり縦剛性過多になる傾向にあります。
これはダンシングやスプリントなどの瞬間的な高負荷への対応が苦手で、縦剛性が必要以上に強いことから路面からの突き返しがひどく乗り心地が悪いということ。
私自身これまでにもエアロロードを何台か乗り継いできましたが、世界的に評価の高かったSWORKS VENGEでさえ若干のマイルドさが残っていたように思えます。
贅沢な悩みではありますが…
値段
まぁこれに尽きますよねぇ…
いかに世界最速でも財布の中身まで世界最速で減らされたんじゃ躊躇してしまいます。
是非最近発表された新型アルテグラ搭載のセカンドコンポーネントグレードを入手しやすい価格で販売して欲しいものです。
正常進化ではない!完全刷新!全てを刷新して生まれ変わったSHIMANO DURA ACE デュラエース ULTEGRA アルテグラこれまでご紹介してきたようにコンポーネントとして大きく進化しています。&n[…]
久しぶりの本気のエアロロードを見た気がする私。
ヴェンジ以降心ときめくモデルがなくずっとターマックに相手をしてもらっていましたが、どうやらこれはGOサインではないでしょうかwww
- 関連記事
2024年に使用されるワールドツアーチームの機材を紹介しようという今回の記事!シーズン前にしっかりと予習しておくためにもぜひチェックしてみてください!前回記事はこちら![sitecard subtitle=関連記事 […]
- 関連記事
エアロロードという乗り物最高のエアロロードは、ライディングの平均速度をグッと高めます。巡航速度の維持はサイクリングの快感でもあり、最高の爽快感を提供してくれます。この巡航速度の向上には空力性能の向上が絶対条件[…]
- 関連記事
ヴァーチャルサイクリング屋外での実走はとても気持ちが良く最高に充実した時間を過ごせます。が!天気や、仕事などいつもいつも外で走れるとは限りません。そんな時に活躍してくれるのがインドアトレーニン[…]