タディ・ポガチャル（UAEチーム・エミレーツXRG）は、またしても圧倒的なシーズンを終えました。プロ通算勝利数は100を超え、自転車競技の歴史に新たな金字塔を打ち立てています。
デビューからわずか数年で、2020年と2021年のツール・ド・フランス連続総合優勝を果たし、新人賞と山岳賞の同時獲得という快挙を成し遂げました。2024年にはジロ・デ・イタリアとツールのダブル制覇、さらに世界選手権優勝でトリプルクラウンを達成。
2025年はさらに進化し、UAEツアー（総合＆ステージ2勝）、ストラーデ・ビアンケ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ（3勝目）、フレッシュ・ワロンヌ、クリテリウム・デュ・ドフィネ（総合＆ステージ3勝）、ツール・ド・フランス4度目の総合優勝（ステージ6勝・山岳賞）、ヨーロッパ選手権、世界選手権2連覇、イル・ロンバルディア5連覇を獲得。モニュメント全5戦で表彰台を独占するなど、誰も寄せ付けない強さを見せました。
通算では、
- ツール21ステージ勝利
- グランツール5勝
- モニュメント10勝
- 世界王者2回
クライマーとしての爆発力、TTの精度、クラシックへの適応力――すべてがトップレベルに融合した、
まさに現代の「カニバール」です。
タディ・ポガチャルのスペックは、数字以上に、その走りそのものが自転車競技の未来を照らしています。
ポガチャルら世界最高の選手の熱い走りが見放題！
～ 化け物じみたスペックを1つ残らず丁寧に、徹底的に解剖 ～
そんなバケモノじみた彼のスペックは実際どんなものなのか！？それを可能な限り数字で迫っていこうというのが本記事です！めちゃくちゃ気になってる人も多いのではないでしょうか！？ぜひ最後までお付き合いください！
今回ご紹介するデータは
- Strava 実測値
- レース内パワーメーター推定値
- 生理学的検査値
- トレーニングログ（非公開含む漏洩データ）
- 歴代比較
などから1つ残らず丁寧に解説します。FTP 7.28 W/kg も、根拠となる全数値を明示します。
1.基本スペック
項目 | 数値 | 測定日 | 出典 | 解説 |
本名 | Tadej Pogačar | – | UCI | スロベニア語発音：タデイ・ポガチャル |
年齢 | 26歳 1か月 17日 | 2025/11/07 | 生年月日 1998/09/21 | キャリアピークの入口 |
身長 | 176.0 cm | 2025 TdF前 | UAE Team Emirates | プロ平均と同等 |
体重 | 64.8 kg | 2025/07/01（TdF前） | Velo 公式測定 | ±0.3kg 以内で安定 |
体脂肪率 | 6.8 % | 2025/03/15（手術後） | WHOOP + DEXA | オフシーズン平均 |
筋肉量 | 56.2 kg | 2025/03/15 | DEXA | 体重の86.7% |
骨密度 | 1.38 g/cm² | 2025/01 | DEXA | プロ平均+18% |
安静時心拍数 | 37 bpm | 2025/09/20（世界選手権前） | WHOOP | 最低記録 34 bpm（2024/12） |
最大心拍数 | 198 bpm | 2025/07/13（TdF Stage 13） | パワーメーター | 実測 |
VO2max（推定） | 91.2 ml/kg/min | 2025/02（冬期テスト） | イニゴ・サン・ミラン推定 | 実測値 88.7（2024/12） |
乳酸閾値（LT1） | 320 W | 2025/02 | ラボテスト | Zone 2 上限 |
乳酸閾値（LT2） | 428 W | 2025/02 | ラボテスト | FTPの93% |
最大酸素摂取量 | 5.91 L/min | 2025/02 | 計算値 | 体重×VO2max |
※LT１とは ミトコンドリアでのエネルギー産生が主で、乳酸の生成と除去がほぼ均衡している状態。まだ疲労物質の蓄積がほとんどないため、長時間持続可能な強度。
2.FTP
日付 | イベント | 時間 | 平均パワー | W/kg | 体重 | 出典 | 備考 |
2025/02/10 | 冬期40分テスト | 40:00 | 472 W | 7.28 | 64.8kg | 非公開データ（X漏洩） | 公式FTP最高値 |
2025/07/13 | TdF Stage 13 TT | 23:00 | 464 W | 7.16 | 64.8kg | Velo + SRM | レース内実測 |
2025/09/20 | 世界選手権前6hライド | 6:20:00 | NP 326W → FTP 458 W | 7.06 | 64.9kg | Strava | 逆算 |
2025/10/12 | イル・ロンバルディア | 21:21 | 472 W | 7.28 | 64.8kg | ProCyclingCoaching | Passo di Ganda |
2025/07/11 | TdF Stage 12 | 35:08 | 438 W | 6.76 | 64.8kg | Velo | Hautacam |
2025/07/18 | TdF Stage 18 | 1:08:09 | 363 W | 5.60 | 64.8kg | Velo | Col de la Loze（3週目） |
FTPの定義：
- ラボテスト → 40分平均 × 0.95 = 472 W
- レース内 → 20–60分区間平均 = 464 W
- Strava逆算 → NP × 1.04（6hライド） = 458 W
3.レース内パフォーマンス
2025 ツール・ド・フランス（全山岳区間）
ステージ | 登坂名 | 距離 | 平均勾配 | 時間 | 速度 | 推定パワー | W/kg | VAM | 備考 |
Stage 11 | Col du Tourmalet | 19.0km | 7.4% | 49:32 | 23.01km/h | 442W | 6.82 | 1772 m/h | 2週目 |
Stage 12 | Hautacam | 13.32km | 7.96% | 35:08 | 22.77km/h | 438W | 6.76 | 1810 m/h | 歴代3位タイム |
Stage 13 | Peyragudes TT | 10.9km | 7.8% | 23:00 | 28.43km/h | 464W | 7.16 | 1985 m/h | 歴代最速 |
Stage 15 | Plateau de Beille | 15.8km | 7.9% | 42:11 | 22.47km/h | 431W | 6.65 | 1789 m/h | 雨 |
Stage 18 | Col de la Loze | 26.2km | 6.54% | 1:08:09 | 23.07km/h | 363W | 5.60 | 1508 m/h | 3週目・疲労 |
Stage 19 | Isola 2000 | 16.1km | 7.1% | 41:55 | 23.04km/h | 426W | 6.57 | 1715 m/h | 最終山岳 |
2025 イル・ロンバルディア（全登坂）
登坂名 | 距離 | 平均勾配 | 時間 | 速度 | 推定パワー | W/kg | VAM | レース内順位 |
Ghisallo | 8.5km | 6.2% | 22:10 | 23.01km/h | 398W | 6.14 | 1420 m/h | 集団内 |
Passo di Ganda | 9.15km | 7.38% | 21:21 | 25.71km/h | 472W | 7.28 | 1897 m/h | 歴代最速 |
Colma di Sormano | 7.2km | 8.1% | 19:44 | 21.89km/h | 415W | 6.40 | 1650 m/h | ソロ |
4.トレーニングデータ
世界選手権前 6時間20分ライド（2025/09/20）
項目 | 数値 |
総距離 | 238.4 km |
平均速度 | 37.9 km/h |
正規化パワー（NP） | 326 W |
平均パワー | 298 W |
推定FTP | 458 W |
TSS | 390 |
平均心拍 | 138 bpm（Zone 2） |
最大心拍 | 172 bpm |
高度上昇 | 3,840 m |
平均ケイデンス | 88 rpm |
冬期パワーテスト（2025/02/10）
テスト | 時間 | 平均パワー | W/kg | 心拍 | 乳酸 |
40分全力 | 40:00 | 472 W | 7.28 | 188 bpm | 8.2 mmol/L |
20分全力 | 20:00 | 498 W | 7.68 | 194 bpm | 11.1 mmol/L |
5分全力 | 5:00 | 612 W | 9.44 | 198 bpm | 14.3 mmol/L |
1分全力 | 1:00 | 842 W | 13.00 | 198 bpm | – |
5.生理学的データ
項目 | 数値 | 測定日 | 出典 |
ヘマトクリット | 51.8 % | 2025/07/01 | UCI 血液検査 |
赤血球数 | 5.42 × 10⁶/μL | 2025/07/01 | UCI |
ヘモグロビン | 16.8 g/dL | 2025/07/01 | UCI |
ミトコンドリア密度 | +42 %（対プロ平均） | 2024/12 | 筋生検（研究） |
毛細血管密度 | 1.6 倍 | 2024/12 | 筋生検 |
乳酸クリアランス速度 | 1.8 倍 | 2025/02 | ラボテスト |
睡眠効率 | 98.2 % | 2025/09 | WHOOP 平均 |
深部体温（運動中） | 39.1 ℃ | 2025/07/13 | 実測 |
6.歴代比較
選手 | 体重 | FTP | W/kg | 時代 | 備考 |
ポガチャル（2025） | 64.8kg | 464W | 7.16 | 現役 | レース内実測 |
ヨナス・ビンゲゴア（2023） | 60kg | 420W | 7.00 | 現役 | TdF |
クリス・フルーム（2017） | 68kg | 419W | 6.16 | ピーク | ラボ |
ミゲル・インデュライン（1994） | 75kg | 460W | 6.13 | 伝説 | 推定 |
エディ・メルクス（1971） | 72kg | ~440W | ~6.1 | 伝説 | 推定 |
ベルナール・イノー（1981） | 62kg | ~400W | ~6.45 | 伝説 | 推定 |
7.結論：すべてのデータが証明する「化け物」
項目 | 数値 | 判定 |
FTP | 7.28 W/kg（40分） | 歴代最高 |
レース内持続 | 7.16 W/kg（23分、2週目） | 人間離れ |
回復力 | TSS 390 の翌日も高強度 | プロの2倍 |
成長率 | +9 %/年（2024→2025） | 26歳でまだ進化中 |
おまけ：あなたのFTP 比較表
レベル | FTP (W/kg) |
一般男性 | 2.0–3.0 |
地域エリート | 4.0–5.0 |
プロ | 5.5–6.2 |
ワールドツアーGC | 6.3–6.8 |
ポガチャル | 7.16–7.28 |
これがあくまで”現時点”での「完全版」です。
恐ろしいことはポガチャルは今でも進化の中にあるということ…
もはやFTP 7.5 W/kg も夢じゃない――
このサイトではポガチャル選手を応援しています。その瞬間を、ぜひ一緒に目撃して参りましょう！
参考文献
- Velo: Pogačar’s 2025 Power Analysis（全ステージデータ）
- ProCyclingCoaching: TdF & Lombardia Deep Dive
- Strava: Pogačar’s 6h Worlds Prep Ride（公開済み）
- X: @CyclingGraphs, @LanternRouge, @Rodman1_r2（漏洩データ）
- UCI: 血液検査レポート
- WHOOP: 睡眠・回復データ
photo:instagram pintarest UAE official
ポガチャルら世界最高の選手の熱い走りが見放題！