2027年に注目すべき絶対に見てほしいプロロードレーサー!
ポガチャル、ヴィンゲゴー、エヴェネプール……世界最高峰を走る「普通じゃない5人」
ツール・ド・フランスを初めて見ると、「自転車に乗った人が200km以上走っている」という、かなりシンプルな映像に見えるかもしれません。しかし、選手の特徴を知ってから見ると、同じレースがまったく違って見えてきます。
山を登らせたら異常な選手、平地で異常な選手、一人で走らせると異常な選手、チームのために異常な仕事量をこなす選手、そして最後の200mだけ突然別の生き物になる選手までいます。

2027年のツールは7月2日、スコットランドのエディンバラからスタートします。第1ステージは184km、第2ステージは223km、第3ステージは223kmで、スコットランド、イングランド、ウェールズを駆け抜けるグランデパールです。特に第3ステージには3.7km・平均7.9%のEpynt、ゴール約12km手前には2km・平均8.1%のCôte de Caerffiliが設定されており、序盤から総合系やパンチャーが動けるコースになっています。
そこで今回は、単純な「強さランキング」ではなく、2027年のツールを見るなら知っておきたい10人を、数字、経歴、キャラクター、そして実際のレースでどこを見るべきかまで一気に紹介します。
※2027年の出場選手は現時点でまだ確定していません。そのため私の独断にておすすめ選手をピックアップしてお届けします!
タデイ・ポガチャル

最強の男
まず、この人を知らずに2027年のツールを見るのはもったいありません。
タディ・ポガチャルTadej Pogačarは、2026年ツールで自身通算5度目の総合優勝を達成し、歴代5勝組に並びました。しかも2026年大会ではステージ5勝。すでに「強い選手」というより、現代ロードレースを語るうえで最強そのものになりつつあります。
身体を包む“第二の皮膚”「ウェアは、私の動きを自由にし、風を味方にするものです。Pisseiの生地が、私のパワーを1%でも増幅してくれる――それが、勝利の小さな秘密です。」― タデイ・ポガチャル(2025年イル・ロンバル[…]
一人のサイクリストと、その“心の延長” 「自転車は、私の身体の一部です。ペダルを踏むたびに、バイクが私の思いに応えてくれる――それが、Colnagoとの出会いでした。」― タデイ・ポガチャルタデイ・ポガチャ[…]
強烈なのはそのスペック!

- 身長約:176cm
- 体重:約66kg
- FTP:400W台前半~中盤
- PWR:約6.7W/kg
公式ではなく推定値なので数字そのものを公式記録として扱うべきではありませんが、長い登坂で高いW/kgを維持しながら、そこからさらにアタックできることがポガチャルの恐ろしさです。
しかも山だけの選手ではありません。ジロ・デ・イタリア、世界選手権、クラシックまで勝負できる万能型で、コースプロフィールを見て「ここはポガチャル向きではない」と思っていると、いつの間にか先頭にいます。
スポットライトの向こう側2025年、ツール・ド・フランス4度目の総合優勝を飾り、ジロ・デ・イタリア、世界選手権、イル・ロンバルディア5連覇を達成した「カニバール(食人者)」の異名を持つスロベニアの怪物。ステージ上では[…]
さらに人物像まで面白みが満載の選手。

少年時代は
- ポケモン
- LEGO
- ベイブレード
- 一輪車
などを楽しみ、パートナーのウルシュカもプロロードレーサー。

ポガチャルは世界最高峰の選手であるにも関わらずジャックフードが大好き!2021年ツール優勝後にはビッグマックとポテトをたらふく食べてしまいました。
観戦ポイント

「順位」ではなく「動き出す瞬間」。
集団前方へ移動し、UAEのチームメイトが配置され、ポガチャルが少し前へ出たら要注意!凄まじい勢いと鋭さのアタックでカメラの外までワープします!
タディ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツXRG)は、またしても圧倒的なシーズンを終えました。プロ通算勝利数は100を超え、自転車競技の歴史に新たな金字塔を打ち立てています。デビューからわずか数年で、2020年と2021年のツール・ド[…]
ヨナス・ヴィンゲゴー

ポガチャルを追いかけるために存在しているような「長距離型クライマー」
ヨナス・ヴィンゲゴーは2022・2023年のツール王者で、2026年にはジロ・デ・イタリアも制覇し、ツール、ジロ、ブエルタのグランツール3大会を制しています。
ポガチャルと同じ総合系でも、走りの印象はかなり違います。ポガチャルが短い加速を何度も繰り出して相手を壊すタイプなら、ヴィンゲゴーは長い登りで高いペースを維持しながら、相手の脚を少しずつ削っていくクライマータイプです。

もちろん実際には両者とも爆発的なアタックを持っていますが、観戦するときにこの違いを意識すると先の予測につながりめちゃくちゃ面白くなります!
そして、テレビで見るとヨナスはとにかく細い!
「この人、本当にプロの自転車選手?」と思うほどですが、山に入ると世界最高峰。2026年ツールでは落車による鎖骨骨折の影響でシーズン後半を早期終了し、2027年に向けて回復・再調整する方針。
観戦ポイント

ポガチャルとの距離!
ポガチャルがアタックしたとき、ヴィンゲゴーが何秒差で追従できるかを見るだけで、山岳ステージの緊張感が一気に上がります!!
引用:Wikipedia
レムコ・エヴェネプール

「俺、一人で走るわ」が本当に速いベルギー人
レムコ・エヴェネプールは、ロードレースだけでなくタイムトライアルを見ると異常さがよく分かる選手です。
2026年世界選手権の個人TTでは
- 距離:39.2km
- タイム:44分53秒
- 平均時速:52.4km/h
- 男子エリートTT:史上初4連覇
を達成しました。
自分のロードバイクで平均40km/hを出したら「今日は以上に速く走れていると勘違いできる」のに、レムコはトレインも組まず一人で52km/h台を39km以上。タイムトライアルなので、前の選手の後ろに隠れるドラフティングもありません。つまり、ひたすら自分で空気と戦っています。

レムコは経歴も面白い!なんともともとはサッカー選手で、ベルギー代表年代別カテゴリーにも進んだ後、自転車競技へ転向。そこから世界王者級のTT能力とグランツール総合力を手に入れました。
観戦ポイント

「単独になった瞬間」。
レムコが集団から抜け出して単独走になったら、それは彼の独壇場に迫る合図かも!タイム差だけでなく「どの速度で差が開いているか」に注目すると面白い選手です。
マチュー・ファンデルプール

山が厳しい?なら山に着く前にレースを壊すだけさ
マチュー・ファンデルプールは、総合順位の上位に常にいる選手ではありませんがここだけを見ているとレースの面白さは半減します。
マチューの魅力はそれだけにあらず!

ロード、シクロクロス、クラシックと幅広くトップレベルで戦い、特にロンド・ファン・フラーンデレンやパリ~ルーベのようなクラシックでは、石畳、急坂、横風、悪路をまとめて攻略してしまう過酷系オールラウンダーです。
マチューを見る面白さは、「どこで勝負するか」が分からないところ。
純粋なクライマーなら山で勝負しますが、マチューは山の前に位置取りを終わらせ、横風で集団を割り、下りで集団と差を作り、平地で踏み続けるなど、コース全体を使って勝負します。
マチュー・ファン・デル・プールは、シクロクロス、ロードレース、マウンテンバイクのすべてで世界トップクラスの実力を誇る「スーパーオールラウンダー」。しかし、その卓越した才能だけでなく、彼のプライベートや奇想天外お茶目なエピソードもまた、彼を唯[…]
観戦ポイント

「勝負が始まる前」
「まだゴールまで100kmもあるのに、なぜ前にいる?」と思ったら、その時点ですでに何かを仕掛けている可能性が高い!
ワウト・ファンアールト

190cm級なのに山で働く。「全部できます」の究極形
ワウト・ファンアールトは、言うなればロードレース界の「何でも屋」!
スプリント、タイムトライアル、クラシック、シクロクロス、さらに山岳ステージまで対応する大型万能型で、チームユンボヴィスマリースアバイクとの契約は現役キャリア終了まで続く形として契約締結。

そして最大の見どころは、自分が勝てる選手なのにチームメイトのために働く献身的な男であるというところ。山岳で前を引き、集団を削り、エースを守り、自分の勝利を捨てる。ロードレースが個人競技ではなく「チームで戦う個人競技」であることを理解するには、これほど分かりやすい選手はいません。
観戦ポイント

「誰のために走っているか」
ワウトが山で前を引き始めたら、「ワウトが勝つのかな?」ではなく、「この後ろに誰がいる?ワウトは誰を勝たせるつもりなのかな?」を見るとチーム戦術が一気に理解できます。
ツールの見方が変わればさらに楽しめる!

今回紹介した選手たちは、全員「速い」という共通点があります。
しかし、速さの種類が違います。
選手 | 武器 | レースで注目するところ |
ポガチャル | W/kg・爆発力・総合力 | アタックの瞬間 |
ヴィンゲゴー | 登坂力・持続力 | 長い登り |
エヴェネプール | TT・単独走 | 一人になった後 |
ファンデルプール | パンチ力・戦術 | 勝負が始まる前 |
ファンアールト | 万能性・献身 | チームメイトとの位置関係 |
こうして見ると、ロードレースの面白さが少し分かってきます。
「誰が一番速いか」だけではないのです。
- どこで力を使うのか。
- 誰のために走っているのか。
- まだ脚を残しているのか。
- 逃げに乗るのか。
- 誰が追うのか。
- ラストまで我慢できるのか。
200km以上走っている間、選手たちはこれをずっと考えています。
2027年ツールは「人間版チェス」だと思って見ると面白い!
ロードレースの面白さは、最後のスプリントや山岳アタックだけではありません。
例えばポガチャルが集団の前方に出てきた。するとライバルは警戒、別のチームが前へ出る。
するとポガチャルの所属するUAEのチームメイトが反応、逃げが発生。それをワウトが追い、マチューが横から出てくる。
そして選手の誰もが、「本当に今、力を使っていいのか?」を考えている。
チェスなら駒を一つ動かすところですが、ロードレースでは200km走ります。
体重60~70kg程度の人間が、自転車と一緒に時速50km以上で走りながら、相手チームの作戦まで考える心理戦であり耐久戦!ささらさらにそこに渦巻く人間模様!
これがツール・ド・フランスです。
まずは今回紹介した選手を覚えて、あとはテレビの前で「何か始まる」を待とう!
2027年ツールドフランスを楽しもう!